田澤昭吾のブログ

私の国家観・人生観をこれまでの教育現場での経験を交えて書かせていただきます。この度、ブログを甥っ子に指導を受けて、実施してみることにしました。71になろうとしている団塊世代の年寄りが、心の若返りと、憂国の思いを、人生の最後の歩みに吐露し、悔いのない日本人の生き方を全うしたい。これから皆さんと対話したいと思います。

「奇跡の天皇」に学ぶ

 新総裁に期待す

 

 九月二十日、自由民主党の新総裁に三度、安倍晋一氏が選ばれ就任しました。
  戦後の占領政策から少しずつ本来の日本の形を取り戻して行ってくれる総裁だと期待し、それを為せるのは今、「安倍晋三しかいない」と思っての事でもあります。このことは、多くの国民の期待でもあろうとも思います。 
 世界に比類なき皇室文化を国家開闢以来存続し、守り続けてきている日本を、これからも守り続け、未来に託していく日本の総理・総裁であることに一層期待し、国民の一人としてこの国のために出来ることを貢献していきたいという思いを新たにさせていただきました。

 

外国人が見た伝統の国・日本とは         

 

  さて、月刊誌『日本の息吹』二月号(平成三十年)に、「外国人が見た伝統の国・日本(1)ー奇蹟の天皇」が掲載されていました。その内容から、日本人とは何かと言うことを教えられたので、紹介したいと思います。
 筆者は、元「ザ・タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」東京支局長のへンリー・スコット=ストークス氏【翻訳/藤田裕行】です。ヘンリー氏は、英国生まれで、オックスフォード大学修士課程修了後、フィナンシャル・タイムス社入社。一九六四年、東京支局長。一九六七年、ザ・タイムズ東京支局長。一九七八年、ニューヨーク・タイムズ東京支局長を歴任。三島由起夫と最も親したかった外国人記者としても知られる方です。。
 著書に『三島由起夫 生と死』(徳間書店)、『英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄』『世界に比類なき日本文化』(祥伝社)他があります。
 本文のリード文として『昭和四十三年に「ロンドン・タイムズ(ザ・タイムズ)」の東京支局長として三島由起夫に初取材して以来、日本の本質を探究してきた敏腕ジャーナリストが語る、日本とは、天皇とは―』と書かれています。短い文章ながらも、迫力ある一文として伝わってきましたので、 紹介してみましょう。

 

日本では、神話がいまも生きている

 

   多くの日本人が気づかない、日本の奇蹟がある。天皇は、天照大神の末裔とされている。日本では、二十一世紀のいまも神話が生きている。神話は、終わっていないのだ。
  この一文にドキッとしました。確かに、日本は神話の世界からそのまま繋がって現実の世界へと歴史が引き継がれ、今に到っている国です。神話が歴史と繋がり生きている国柄を持っているのが日本国であり、その歴史が今年皇紀二六七七年という年を迎えています。
 他国では、神話は天上の世界の物語で、現世との繋がりまでは示されていないと理解しています。日本のように、神話と歴史が連綿と結ばれて今日があるというのは、日本の歴史上の大きな特色だと思います。
 ヘンリー氏の日本を捉える視点は、見事だと思いました。
  そして、次のようにも記しています。
     天皇は人であると同時に、神性を持った神聖なるご存在である。現人神なのだ。人間的な側面と、神聖なる側面は矛盾しない。現人神は人であると同時に、神性を持った存在を意味するのだ。
     一九四六年元旦の詔勅は「天皇人間宣言」とされているが、いったい誰がそのような「題目」をつけたのか。
     昭和天皇は、この詔勅で『人間宣言』などされていない。天皇というご存在の本質に、戦前・戦中と戦後で、何も変わることはない。
     むしろ、「天皇は、神だと称し、日本民族は他の民族に優越するので世界を支配する運命を持っている」というような連合国の「架空の観念」こそ、否定したものだった。
ここでは、天皇が現人神であるということが強調され、「神性持った存在」であることが述べられています。
  そして、ヘンリー氏は、一九四六年元旦の「天皇人間宣言」について、
    誰がそのような「題目」をつけたのか。
    昭和天皇は、この詔勅で「人間宣言」などされていない。
     むしろ、「天皇は、神だと称し、日本民族は他の民族に優越するので世界を支配する運命を持っている」というような連合国の「架空の観念」をこそ、否定したものだった。
と記しているのです。
 日本の天皇は、確かに天照大神の末裔しての神性を有したお方ですが、決して世界制覇を目論んで来たわけでもないし、そのような野望など微塵もお持ちでないお方として過ごされてこられたのです。
 「私が神々に朝夕祈っているのは、自分のことでなく、ただ多くの庶民が少しでも幸せになってくれればということだ」と謳った御製「みのかひはなにいのるべき朝な夕な民やすかれとおもふばかりを」に、その大御心が示されておられるのです。
 この大御心は、歴代天皇の大御心をお示しされている歌でもあられます。

 

「守るべきものは何か」、と命を託した三島由紀夫の決起」

 

 次に、本文の見出しに「守るべきものは何か」という箇所がありますが、その内容は三島由紀夫氏について書かれています。
  三島由紀夫について簡単に説明します。作家・三島由紀夫は、現代に蘇る文武両道の思想家でしたが、次の出来事を日本国民に示して一期とされました。
   三島は、昭和四十五年(一九七〇年)十一月二十五日午前十一時、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地内東部方面総監の益田兼利陸将を訪ねました。随員として楯の会の森田必勝をはじめとする小賀正義 小川正洋 古賀浩靖の四人が楯の会の制服を着こんで、共に訪れました。面談中、三島一行は、突如、益田総監を人質に籠城を試みたのです。
   そして、三島は、森田を引き連れ、同室のバルコニーに立ち、自衛隊員に激文を撒き、階下に集まった自衛隊員に一場の演説を試みました。
   その内容の骨子は、「憲法改正自衛隊員が立ち上がるべきだ」という内容でした。しかし、その三島の至誠は、自衛隊員に届かずじまいでした。三島は、そのことに「見極めがついた」と語った後、「天皇陛下萬歳」と三度叫び、部屋に戻りました。そして、「益田総監には、恨みはありません」と話しかけたあと、上半身裸になり、バルコニーに向かうように正座し、短刀を両手に持ち、背後の森田に「君はやめろ」と三言ばかり殉死を思い止まらせようと声を掛けたあと、壮絶なる割腹自殺を遂げました。介錯は森田必勝でした。介錯後には、森田も割腹自殺を図り、古賀浩靖が一太刀で介錯しました。
   この後、小賀、小川、古賀の三名は、三島、森田の両遺体を仰向けに直して制服をかけ、両者の首を並べて合掌し、総監の拘束を解きました。この時総監は、三名の涙をみて、「もっと思いきり泣け…」と言い、「私にも冥福を祈らせてくれ」と正座して瞑目合掌しました。
   午後0時20分過ぎ、三名は総監室正面入口から総監を連れ出し、日本刀を自衛官に渡し、警察に逮捕されました。(Yahoo!JAPAN 「三島由起夫 割腹自殺の全容」参照)
こうした衝撃的な事件が、一九七〇年、昭和四十五年にあったのです。今でも十一月二十五日には、三島由起夫を偲ぶ会が「憂国忌」として行われています。
  ヘンリーさんは、三島由起夫を初取材したことをきっかけに日本に関心を抱き、日本の本質を探求してきたジャーナリストとして、「あの日から、四十五年。私は、三島さんが訴えていたことは、正しかったと、そう思う」と述べています。

 

「建軍の本義」とは

 

 また、「建軍の本義」とは「いったい、何を守るための軍隊か」ということです。それを三島さんは「三種の神器」と答え、それは「世界に比類なき、万世一系天皇の皇統を守り抜くことだ」と訴えたと述べていました。
   「三種の神器」は、天照大神から天孫瓊瓊杵尊が降臨する際に賜った神器で、三大神勅と共に授与された神器のことです。一つは、「八咫鏡(やたのかがみ)」、もう一つは「八坂の勾玉(やさかにのまがたま)」、もう一つは「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)」の三つです。
 この三種の神器は、八咫鏡伊勢神宮のご神体として奉戴され、天叢雲剣熱田神宮のご神体として奉戴されています。陛下の元へは、この二つはイミテーションがつくられ奉祀されています。
 お鏡は賢所のご神体として祀られ、剣と本物の勾玉は、お手元に奉祀されています。
 そして、天皇陛下崩御されると同時に皇太子様が新天皇に即位されることとなり、その最初の引き継ぎの儀が、剣璽渡御の儀として宝剣と勾玉が新天皇の元へ受け継がれました。
 この儀式によって、新天皇が誕生したことになるのです。
 この儀式は、天照大神から瓊瓊杵尊三種の神器が手渡されたのを再現した儀式であり、神代の出来事が、現世でもそのままに執り行われているという、実に権威ある神事なのです。
 三島由起夫は、そのことを「建軍の本義」とし、それは「三種の神器」を守ることだと言い切ったのです。それを、ヘンリーさんは、「世界に比類なき、萬世一系の天皇の皇統を守り抜くことだと、そう三島さんは訴えた」のです、と述べていました。
 しかし、三島由紀夫のこの思いは、昭和四十五年十一月二十五日の市ヶ谷での出来事で、残念ながら、自衛隊の皆さんには伝わりませんてした。

 

天皇の皇統を守るために命を託した三島由紀夫

 

  ヘンリーさんは、英語でいう「コンスティテューション」(憲法)とは、「国体」という意味です、と述べています。
 そして、この立場から考えると、「占領憲法は、世界で最も古いダイナスティ(王朝)が歴史を経て連綿とかたちづくってきた『国体』を、内包しているだろうか」と問いかけています。
  そして、戦後の日本国憲法では、その国が守るべき国体が守られていない、と述べ、次のように指摘しています。

 

       守るべきものとは何か
   「建軍の本義」とは、「いったい何を守るための軍団か」ということだ。石原慎太郎は、「フリーダム」、自由だと言った。

 三島さんは、「三種の神器だ」と答えた。「建軍の本義」は、世界に比類なき、万世一系天皇の皇統を、守り抜くことだと、そう三島さんは    訴えた。
   英語で言う「コンスティテューション」=憲法とは、「国体」と言う意味だ。占領憲法は、世界で最も古いダイナスティが歴史を経て連綿とかたちづくってきた「国体」を内包しているだろうか。

 

 そして、ヘンリーさんは、「日本の国家元首は誰か」という章で
   

   なぜ、日本国憲法には国家元首が明記されていないのか。なぜ軍隊を持たないと宣言しているのか。
     国家元首と軍隊を欠いては、独立主権国家は成り立たない。自明のことだ。

 

と、明確に指摘しています。私には、何か、すっきりした思いにさせてくれる一文でした。
  また、マッカーサの占領政策の狙いを

 

   私は、マッカーサー、或いはアメリ国務省の本音とは、日本の保護領化だったと思う。自治権を与えても、国家としての完全なる独立     は、認めないということだ。

 

と、言い切っています。そして、

 

     最近私は、日本国憲法に書かれていない、暗黙の日本の国家元首は、アメリカ大統領なのではないか―そう思うことがある。

 

と、疑義を問いかけています。
 ここの件(くだり)は、私自身もこのような考えに到らせられたことが幾度かあり、今も持ち続けています。それ故、ヘンリーさんのような指摘には、大いに共感します。
 そして、「日本の国家元首は誰か? それは当たり前だが、安倍さんではない」という指摘し、同時に、

 

     三島さんは、命を賭して、その問題提起をした。我々は、いま、その問題提起を厳粛に受け止める秋(とき)を迎えている。
       私は、三島さんのように自決はしない。
     ただ、残された時間で、命がけで、三島さんに託された想いを、「目覚めよ、日本」と、訴えてゆきたい。日本人を信じて!

 

と、ご自身の決意の程を述べています。
 外国人の方に、こうした決意を表明として貰えるというのは、驚きであり、日本人としての自覚を強く促されます。
     
「奇蹟の天皇
 最後の章の「奇蹟の天皇」箇所では、

 

 天皇が存在する限り、日本は存在する。天皇を失えば、日本は日本ではなくなる。
 今年は皇紀で言えば、二六七七年である。世界史を鳥瞰(ちょうかん)してみると、様々な文明や国家が、勃興し、発展し、そして滅びて        いった。その世界史の中に在って、ひとつの王朝が、二千年以上の長い年月、続いてきたことは、奇蹟としかいいようがない。それは、人間業を超えている。私は、その奇蹟に、神の臨在を感じる。

 

と述べています。ヘンリーさんのこの一文には、日本人の一人として歓喜を誘われました。

 

   天皇というご存在は、日本の宝である。と同時に、世界の宝である。生きた宝であり、それは神話からずっと繋がることで神性を宿し、二    十一世紀の現代世界に燦然と輝きを放っている。
   神話と二十一世紀を、生きながらに結ぶ、世界最長の一系の「祭祀王」、天皇のご存在を抜きにして、私は日本文化について語ることは出来ないと思うのだ。

 

 この結びの一文には、ただただ、感動し、納得し、この国の防人たらんという思いを募らせられました。
 フランス国営文化放送プロデューサーとして活躍しているオリビエ・ジェルマントマ氏は、日本の美点をフランスに紹介している人ですが、平成十年十一月二十八日の天皇陛下御即位十年を祝う記念講演で次のように述べています。

 

   天皇のご存在あればこそ、日本民族は、一直線に、連綿として絶えることなく、その最も遠い歴史の淵源と、今なお結び合わされているのであります。世界広しといえども、このような国は、たった一つ、日本しかないのです。
   日本国民の統一と安泰を守るために、日夜、天皇が御心を砕き、民族の偉大性をも不幸をも一身に持しておられることを、私共はよく存じあげています。
 

 エール大学神学部長のパール・S・ビース博士は、その著書『日本古典の精神』の中で、次のように述べています。
 

   人類は五千年の歴史と二度の世界大戦の惨禍を経験した結果、「一つの世界」を理想とする国連憲章を結んだが、日本の建国者は、二千年も前の建国当初に、世界一家を言明している。これは人類の文化史上、注目すべき発言であろう。
 

 パール博士は、このように神武天皇建国宣言の理想を高く評価しているのです。
 神武天皇が日本建国の理想として掲げた精神の中には、世界の調和・宇宙の調和という高邁な理想があったことに、日本人として限りない喜びを感じます。
 人類の長い歴史の中で、今ようやく世界は、調和と共存を求める理 想を共有しはじめようとしていますが、私たち日本人の祖先は、国家建国の当初から世界調和・宇宙の調和を理想としてきたのです。何という感激であろうかと、私は、私たちの祖先の英知に深い感激と感謝の思いを捧げたいと思います。
 最後に、昭和天皇の御製をもってこの稿を終えたいと思います。昭和天皇の大御心をじっくりと感じてください。
    ふりつもるみ雪にたへていろかへぬ 松ぞををしき人もかくあれ
    日々のこのわがゆく道を正さむと かくれたる人の声をもとむる
    わが庭の宮居に祭る神々に 世の安らぎを祈る朝々

 

平成30年9月吉日